お前は、この程度の生き方で満足をしているのかという言葉の裏には、目の前の人間に対する強い信頼がある。それは「お前はこの程度の人間じゃないだろう」という信頼であり、自分の奥の方に眠る何かを、このひとだけはしっかりと見据えてくれているという嬉しさがある。ああ、ほんとうは、自分はもっと激しく生きたかったのだと焦がれている、胸の奥に眠る生命の存在に気付く。自分を守ろうとするのではなく、自分をダメにしてやろう。自分を投げ出してやろう。うまくやろうとするのではなく「よし、失敗してやろう。傷ついてやろう」と思う時に、自分の命が踊る感覚がある。幸も不幸もどんと来い。満足した豚に、狼の孤独は歌えない。ギリギリの道を行くものにだけ宿る魅力があるのだと思う。
そうだと思う